リユース業界トピックス
巣ごもり継続、商品の多様化、SDGs… コロナ禍で見えてきたリユース業界の成長分野 【前編】
まざまな業界に深刻なダメージを与えている、新型コロナウイルスの感染拡大。リユース業界は、そんなコロナ禍でも需要が落ちていない数少ない業界のひとつです。リユース業界の安定的な成長を支えている要因には、どのようなものがあるのでしょうか。
本記事では【前編】と【後編】の2回にわたって、リユース業界の現状とこれからの成長の可能性・方向性についてくわしく解説をしていきます。
コロナ禍でも需要が落ちないリユース業界
リユース業界における2020年度の市場規模は、前年比2.5%増の2兆4,169億円で、11年連続の成長を記録しました。過去の成長率からは、やや落ち込んだものの、コロナ禍でも依然として需要のある業界といえます。
それどころかコロナの感染拡大が、市場拡大をむしろ促進した面も少なくありません。例えば外出自粛による在宅時間の増加により、自宅を整理する人が増え、リユース商品の流通が活性化しました。
また巣ごもり需要の影響で、家具・家電・ホビー・スマホ・タブレット・パソコンなど売上が拡大した商品もあります。三密回避の観点からスポーツ・レジャー用品や中古車のニーズも高まりました。
さらに持続可能な開発を目指すSDGsの認知拡大もリユース業界の成長に拍車をかけています。
(1981年~1995年に生まれた)ミレニアル世代や(1996年~2000年代に生まれた)Z世代を中心に、資源の消費や廃棄物の発生をおさえる環境配慮の価値観が浸透。割安に商品を入手できるという経済合理性の高さからも、中古品を積極的に再利用する流れにつながっているのです。
加えてリユース業界全体でサービスのオンライン化が推進され、ユーザビリティが向上したことも市場拡大を後押ししています。
リユース業界の可能性
リユース業界は今後も成長していく可能性が高く、将来性のある領域です。2025年には、市場規模が3兆2500億円にまで成長するという予測もあります。
現在、日本国内で1年に廃棄される不用品のうち、まだ価値があるものは総計で5兆円にのぼるといわれています。さらに1年以上使われず家庭に眠っている「かくれ資産」は37兆円にもなると試算されており、リユース市場の潜在的な可能性ははかりしれません。
中古品を再利用するため新しいモノをつくる必要がないリユース事業は、粗利率(売り上げ高に対する売上総利益)が高いことから、今後は新品市場を上回るのではないかという期待もあるほどです。
地球環境に優しく循環型の社会の醸成に寄与することから、イメージ向上につながるというメリットもあり、参入企業はますます増加していくでしょう。
このように前途有望なリユース業界は、今後どのような方向に発展していくのでしょうか。
続く【後編】ではリユース業界の今後の方向性について、さらに深掘りして解説をしていきます。ぜひ本記事とあわせてチェックしてみてくださいね。