リユース業界トピックス
こんな時代だから押さえておきたい サーキュラーエコノミーとリユースの関係【前編】
今回と次回の2回にわたり、サーキュラーエコノミー(循環型経済)とリユース(再利用)の関係について考えます。前編ではサーキュラーエコノミーの概要を説明しながら、私たちになじみの深いリユースとの違いを明確にします。
サーキュラーエコノミーとは
2021年1月に経済産業省と環境省が出した『サーキュラーエコノミーに係るサステナブル・ファイナンス促進のための開示・対話ガイダンス』によると、サーキュラーエコノミーとは、「従来から取り組んできたリデュース・リユース・リサイクルの3R運動に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動」のことをいいます。
ざっくりまとめるならサーキュラーエコノミーは、今まで廃棄が前提だった製品や原材料が廃棄されることなく、リサイクルやリユースを経て形を変えながらエンドレスに回り続ける経済システムといえるでしょう。
サーキュラーエコノミーへの転換が必要な訳
大量生産・大量消費・大量廃棄をベースとした一方通行の経済システムを続けてきた結果、現代社会は異常気象や大気・海洋汚染、資源の枯渇などさまざまな問題を抱えています。
私たちがこれからも地球上で安心して暮らしていくためには、今までの直線的な経済システムを見直し、本来地球がもつ循環型機能を取り戻さなければなりません。
サーキュラーエコノミーへの転換は、避けて通れない道なのです。
循環型経済と循環型社会との違い
サーキュラーエコノミーの和訳として使われる「循環型経済」と似た考え方に、「循環型社会」があります。
循環型社会は廃棄物の発生を抑制し、有用なモノは資源として循環させ、廃棄する際は適切な処理を行うことで天然資源の消費を減らし、環境への負荷をできるだけ小さくする社会のことです。
サーキュラーエコノミー(循環型経済)が、原材料を調達し設計するという製品をつくる入り口側から大きな循環を考えるのに対し、循環型社会は完成した製品の出口である廃棄を減らすために小さめの循環を考えるという違いがあります。
サーキュラーエコノミーとリユースの違い
循環型社会のキーワードとして、リデュース(Reduce)・リユース(Reuse)・リサイクル(Recycle)の頭文字から取った3Rが挙げられます。日本ではすっかりおなじみですね。
リユースとは、モノの形を変えずに再利用することをいいます。自分にとって不要なモノを誰か欲しい人に譲ったり、牛乳瓶やビール瓶のようなリターナブル瓶も使うこともリユースです。繰り返し長く使うことで、廃棄物を減らすことにつなげています。
完成したモノを中心に循環を考えるリユースは、原材料・資源や設計から循環を考えるサーキュラーエコノミーとは視点が違うことが、おわかりいただけたのではないでしょうか?
次回はサーキュラーエコノミーの実現とリユースの促進や、循環型社会の実現を推進するブックオフの取り組みについてレポートします。