ブックオフのお仕事
コロナ禍で変わる?変わらない?リユース業界がめざす方向性【前編】
新型コロナウイルス感染拡大により、大きく変わった私たちの生活。その変化は、リユース業界にどのような影響を与えたのでしょうか?これから2回にわたり、今後のリユース業界を考える上で重要となるポイントと将来進むべき方向性を探り、併せてブックオフの現状についてレポートします。
コロナ禍でのリユース業界
新型コロナウイルス感染拡大により発令された緊急事態宣言による外出自粛期間を除き、既存店の売上高が前年同月を上回るリユース業界。巣ごもり需要の増加による売れ筋トレンドの変化への対応、ECサイトを使った販売・買取やキャッシュレス化など、コロナ禍への対応としてさまざまな取り組みを進めています。リユース業界をライフサイクルで考える
ライフサイクルでリユース業界を分析すると、1990年以降10年ごとに節目を迎えていると考えられます。認知度を上げる導入期、需要が供給を上回りシェア争いの成長期、需要と供給のバランスが取れ差別化が進む成熟期、供給過多となる衰退期。新型コロナウイルス感染拡大は、マーケット的に衰退期の入り口で起こった出来事でした。
今後のリユース業界がめざす方向は?
コロナ禍においてお客様が求めるものから、今後のリユース業界がめざす方向を考えてみましょう。3密を避け非接触・非対面を選択するお客様のニーズに沿って、従来から導入されていたECサイトを使った買取・販売やキャッシュレス化の強化のほか、オンライン接客、クラウドを利用した情報のデジタル化など、効率化・省力化・自動化への取り組みは必須です。
次に、モノやシステムにお金を払う顧客ではなく、ヒトや理念にお金を払うファンを増やすことが必要です。しかしながらデジタル化が進みリアルでのコミュニケーションが減少すると、ヒトの魅力が伝わりにくい状況が生まれるかもしれません。この先は、今まで以上に理念やコンセプトを伝えることが重要になってくるでしょう。
不要になったものを買い取り、必要とする人に販売するリユース業界は、限られた資源を大切にしてゴミやCO2を削減する「持続可能な環境維持や循環型社会の実現」といった社会的課題の解決に貢献してきました。
今回の新型コロナウイルス感染拡大を受け、「誰かの役に立ちたい」というマインドが広がっています。例えば、インターネットを介して不特定多数の人々から少しずつ資金を調達するクラウドファンディングの利用は急増しており、既に取扱額は昨年度を超えているとのこと。リユース業界の場合、外出自粛期間中の断捨離ブームで買取需要が増加しました。不用品を「捨てる」のではなく「必要とする人の手元に」という、お客様の「誰かの役に立ちたい」という気持ちの表れではないでしょうか。
リユース品の売買によって社会的課題解決に貢献できる、「誰かの役に立ちたい」という気持ちを叶えることができる。そういった情報を発信することが、お客様に理念を伝え、リユース業界のファンを増やしていくことにつながっていくといえるでしょう。
今後のリユース業界がめざす方向についてお伝えしました。後編では、ブックオフの現状についてレポートします。